遺産分割の対象となる人物とは

第三者への遺産分割の指示がある遺言状の扱い

第三者への遺産分割の指示がある遺言状の扱い 遺言書は一般的には遺言を残した人の意思が直接反映されています。
自分が保有する遺産の帰属先を生前に確定させることを目的に遺言は残されるからです。
しかし民法上第三者に遺産分割を指定することが認められています。
これは相続分の指定といわれるものですが、このような内容のある遺言の存在が分かったときの扱いは、どのようにするべきなのでしょうか。
まず遺産分割の指定を受けた第三者は、必ず遺言どおりに確定する義務を負っているわけではなく、履行を拒絶することも出来ます。
とはいってもあいまいな態度で終始したり、返答が内容では困るので相続人などは相続分の指定の履行を催促することは可能です。
この場合は無権代理人に対する履行催促権(民法第114条)を類推し、応答がなかった場合は履行拒絶の効果をもたらすとかんがえられています。
相続分の指定がなされればその内容で確定しますが、なされない場合は原則に戻り法定相続となります。
この場合は遺言の内容に拘束されることなく遺産分割を行えることになるわけです。

離婚した元妻・元夫は元配偶者の遺産分割の対象にはならない

離婚した元妻・元夫は元配偶者の遺産分割の対象にはならない 80歳や90歳を超えた方が寿命でそう遠くない未来にその人生の幕を閉じるのは予感できることです。
しかし、若くして病気や事故など突然お亡くなりになってしまうケースだってあります。
もしそれが、離婚した元妻あるいは元夫だったということもあるかもしれません。
さて、その時に発生する故人の遺産分割は元配偶者にどれだけ分割されるのか、そう問われたら「遺産分割は一切ない」というのが答えとなります。
配偶者であれば法定相続人として3分の2を相続することができますが、配偶者でなくなってしまえば完全に赤の他人。
婚姻という社会的な契約とも呼べる間柄を互いに放棄したのですから相続の権利もなくなってしまうのです。
仮に元妻・元夫が再婚していたのだとすれば、そちらが遺産分割対象となる配偶者となり権利を有します。
ただし、もし故人の息子、あるいは娘を元配偶者側が引き取って育てているのであれば、子供に法定相続人の権利が発生します。
なぜかというと親が離婚してどちらが引き取ったとしても、血の繋がった親子関係をなくすことはできず、相続放棄をしない限り相続権も消えることはありません。
いざその場になって勘違いしてしまう人もいるかもしれませんが、あくまでそれは子供の権利であり、元妻・元夫が相続するものではありませんのでご注意ください。